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日々の生活の中で、ふと聞こえる心のつぶやき日記


by keiyou-ai
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原美術館 やなぎみわ展

先日、原美術館のやなぎみわ展にいってきました。

「無垢な老女と無慈悲な少女の信じられない物語」というタイトルがついていて、どういう内容なのか興味を持ちましたので…。作品の主要なイメージは、黒いテント状の被りものを着けた少女?でも、その被りものから出て来る手は、老婆の手…という「テント女」。老婆の特種メークをほどこした少女と素顔の10代と思える少女を映像や写真の中で仮面劇のようにからませ、「やなぎみわの寓話」として表現したものだそうです。

この作品展を見て、まず連想したのが武満徹のオペラ「マイウェイ オブ ライフ」、そして宮崎駿監督の「ハウルの動く城」。老婆と少女という組み合わせと女性の一生という基調テーマがそうさせたのかもしれないのですが、少女の中に潜む無垢や純粋さプラス老女にイメージされる醜い負や闇をも合わせ持った女性性の表現に共通点があるように思いました。女性は、少女から老婆への道のりの中で、さまざまな表情や心情が千変万化していくように見えるけれど、本当は始めから無垢も純粋さも醜さもありとあらゆるものを内在しながら女という性を生きているのかも…と。
この作家の「MY Grandmothers」シリーズを見てみたいなと思いました。若いモデルに50年後の老いた姿をイメージしてもらい、「理想の祖母像」というテーマで特種メークとCGを使って作品化したものだそうです。現在の20代の人達がイメージする「理想の祖母像」って一体どう言うものなのだろう?この作家の親世代に近い私としては、とても興味を持つテーマです。その前に、少子化が進み独身女性や独身男性が増えている現在、「理想の祖母像」をどう具体的にイメージするのだろうか?…と。

最近、何故か社会的にも母性の重要性がテーマに上がっているような気がします。そのような場合、理想の母性はいつも男性性からの視点で表現されているように思います。母性は、始めから女性性の中に遺伝子としてあるのかもしれないけれど、顕在化するかどうかは解らないように思うのですが…。子を生み育てて行く中で、始めて顕在化して行くような…。何となく現在は、女性性で止まり全てを受容しようとする母性へと変化しにくい時代ではないかとも…。それだけ、昔の女性の厳しさとは別の何かの原因があるようにも感じています。

今回の作品展を見ながら、特に童話に題材を取ったシリーズ作品が気になりました。鏡に映った自画像のようにも見えて…。人は加齢していくことで全ての負の要素や闇を経験しながら死んで行く…。皆同じ道をたどるにしても、さまざまな女性の生き方があるのだろうなあと思いながらひとつひとつ丹念に鑑賞してきました。砂女、自分の中にも確実にいるなあと…確信!(爆)

会期は、2005年8月13日〜11月6日まで

追伸:レセプション会場でお見かけしたやなぎみわさんは、とても笑顔の綺麗な素敵な方でした。美術館のショップでやなぎさん関連本を入手…。それを読んで作品制作の意図が少し理解できたように思います。
by keiyou-ai | 2005-08-16 00:56 | 鑑賞徒然